Marvell/AMDドライバにおけるTrimの効果を検証

震災に新生活にWorld of Tanks(参考)にと、いろいろ時間を取られているうちに5月になってしまいました。というわけで、久方ぶりに更新してみます。

以前の記事において、MarvellのSATA3チップ(88SE9123/88SE9128)のドライバや、AMDチップセットAHCIドライバではTrimが送信されないと書きましたが、前者はバージョン1.0.0.1051、後者はバージョン1.2.1.275においてTrimに対応したとのことです(参考:Be Hardwareの記事)。というわけで、今回の記事では、それぞれのドライバにおけるTrimの効果を簡単に計測してみました。

テスト方法とP55チップセットによるリファレンス計測

テストは基本的にHD Tune ProのWriteテストの結果を見るというお手軽なものです。実行方法は以下の通りです。

  1. HDDEraseでSSDにSecureEraseを実行
  2. HD Tune ProのWrite Testを実行(1回目, 最高パフォーマンス)
  3. Iometerを用い、ディスク全域に4KBのランダムライトを30分実行
  4. HD Tune ProのWrite Testを実行(2回目, パフォーマンス劣化状態)
  5. ディスク全域にクイックフォーマットでドライブを作成し、すぐに消去
  6. HD Tune ProのWrite Testを実行(3回目, 全域Trim実行後)

使用したSSDはSolidataのK5-64(Barefootコントローラ,SLC,64GB)です。Barefootコントローラは全域に対するTrimで容易に最高パフォーマンスに近い状態まで性能が回復するので、このようなテストには適しています。
HD TuneのWrite Testは、Partial Test(Most Accurate), Test Size 128KBの設定で実行しました。Full Testだとシーケンシャルライトになってしまうので、飛び飛びのアクセスパターンになるPartial Testにしてみました。テストサイズは適当です。

リファレンスとして、P55チップセットのSATA2ポートにおいてテストを実行してみました。使用したマザーボードはASRock P55 Deluxe, OSはWindows 7 64bit (Professional Edition)です。ドライバはIRSTのバージョン9.6.0.1014です*1

  • 1回目, 最高パフォーマンス

  • 2回目, パフォーマンス劣化状態

  • 3回目, 全域Trim実行後

以上のように、劣化した状態からほぼ完璧に性能が回復します。

Marvell 88SE9123

Marvell 88SE9123は、SATA3(6Gbps)に対応したコントローラチップで、一部のマザーボードのSATA3ポートや、PCI-Express接続のSATA3ポート増設カードなどに採用されています。このチップは、Trimに対応していないだけではなく、ICH10などのSATA2ポートよりパフォーマンスが劣ることがある(参考BenchmarkReviewsの記事)、ホットスワップに対応していないなど、いまいち感の漂う製品でした。しかし、Trimに対応したことで、目に見える欠点は一つ克服されたと言えそうです。

今回用いたハードウェアは、ASRock P55 Deluxeに付属していたSATA3カード(参考:AKIBA PC Online!の記事)です。 OSは上述のSATA2ポートのテストと同じく、Windows 7 64bit (Professional Edition)です。ドライバのバージョンは1.2.0.1002で、Station-Driversからダウンロードしました。

  • 1回目, 最高パフォーマンス

  • 2回目, パフォーマンス劣化状態

  • 3回目, 全域Trim実行後

IntelのSATA2ポートよりピーク性能が下がっているのが気になるところですが、Trimはしっかり送信されているようで、ほぼ完璧に性能が回復しています。

AMD 790GX

AMDチップセットは、Intelに先駆けて880FX/880GXチップセットなどでSATA3に対応し、注目を集めていました。パフォーマンスは前述のMarvellのチップより高い傾向にあるようです(参考:PC Watchの記事)。
本当はSATA3のポートで試したいところでしたが、自宅には1世代前の790GXチップセット搭載のマザーしかなかったので、それを用いました。

使用したマザーボードは、BIOSTARのTA790GX XEで、OSはWindows Server 2008 R2です。使用したドライバのバージョンは1.2.1282です。ドライバは公式ページからダウンロードできるもの(AHCI for Windows 7)です。なお、HD Tuneのライセンスは1つしか持っていないので、こちらのPCでは体験版を用いました。

  • 1回目, 最高パフォーマンス

  • 2回目, パフォーマンス劣化状態

  • 3回目, 全域Trim実行後

なぜかこれまでの2つに比べてTrim送信後の回復が完璧ではありませんが、Trimが有効であることは間違いなさそうです。

結論

いずれのチップセットでも、Trimが効果を発揮しているのが確認できました。最新のドライバさえインストールすれば、安心してSSDを使うことができそうです。
それぞれのチップセットの性能差は若干気になるところです。いずれ検証してみたいと思います。

おことわり

東日本大震災による関東地方の電力需給逼迫のため、SSD耐久テストは自粛中です。ご了承ください。

*1:最新版じゃなかったことにさっき気がつきました…