(5) 平均書き換え回数5000回到達

D論炎上しすぎワロエナイ、という状況だったため長らく更新をサボっていましたが、耐久テストは継続して実行していました。ようやく色々と終わったので、更新を再開したいと思います。晴れて来年度からは学生身分を脱却できそうです。

現在のテストの状態ですが、Onyx(Intel製NAND),UltraDrive GX2(東芝製NAND)の両方とも、平均書き換え回数が寿命の目安と言われる5000回に到達し、データ保持エラーの影響を調べるための2度目の放置実験を行っているところです。テストの内容については、前々回の記事を参照してください。

Onyxの方は、なかなかお目にかかれないCrystalDiskInfoの"異常"状態に到達しました。UltraDrive GX2の方は、寿命の上限が10,000回に設定されているため、まだ正常の状態です。

さて、寿命の目安とされる書き換え回数には到達したものの、未だにOnyxの後天的な不良ブロックは0、Ultradrive GX2でもProgram Failure Blockが1個(テスト初期に発生)のみであり、すぐさまSSDが壊れそうな雰囲気は感じられません。

RBERの面からも、やはりすぐに壊れそうな雰囲気はありません。
以下に、前回同様のRBERのグラフを示します。縦軸がRBER(logスケール),横軸がAverage Erase Countです。赤はOCZ Onyxの全データにおけるRBER、緑はOnyxの最後の一周のRBER(一周=LBAの先頭から最後まで読み書きを行うことと定義)、青はSuperTalent UltraDrive GX2の全データにおけるRBER,ピンクはUltradrive GX2の最後の一周のRBERです。"+○○hours"と表記されている矢印は、最後に書き込みを行ってからの経過時間を示しています。

JEDECの基準では、SSDの生涯を通したUBERが10E-15を下回ることが要求されています。8bitのECCを用いる場合、UBERが10E-15となるRBERの閾値は約5.61E-5, 12bitのECCを用いる場合のRBERの閾値は1.94E-4となります。

本テストにおいては、RBERは順調に増加してはいるものの、全データのRBER(赤、青)はおろか、最後の一周のRBER(緑、ピンク)ですらそれらの閾値を大幅に下回っています。やはり、目安とされる書き換え回数の上限に到達しても、即座にSSDが機能を失う、多くのデータが破損するといった現象が発生することは考えにくい状況です。

あとは長時間の放置によるデータ保持エラーがどのくらい発生するか、ということがポイントになりそうです。興味深いことに、東芝のNANDは、平均書き換え回数5,000回到達後のデータ保持エラーの影響が小さいようで、RBERはほとんど増えていません。一方、IntelのNANDは盛大にRBERが上昇中です。

以前紹介したJEDECの基準には、長期にわたるデータ保持エラーの影響を推定する手法が記載されています。次回は、2回の放置実験それぞれについて、その手法を試してみたいと思います。