SSDに関する小ネタ集

一つのエントリにするには細かい話題がいくつかたまっているので、まとめて掲載してみます。

AS SSD Benchmarkの紹介

SSD専用を謳う新しいベンチマークソフト、AS SSD Benchmarkが公開されています。もともとはドイツ語のソフトでしたが、最近のバージョンでは英語表示が可能になりました。

ベンチマークの方向性としては、CrystalDiskMarkと同様の数クリックで結果が出てくるお手軽路線です。メインのテスト内容は、シーケンシャル、4kランダム(QueueDepth=1)、4Kランダム(QueueDepth=64)、アクセスタイム測定の4種類で、それらの値を元にスコアを算出してくれます。また、コピー速度測定モードもあります。
CrystalDiskMarkとの違いとしては、テスト回数が1回のみ、テストサイズが1GB限定(QD=64のテストでは16MB)になっている点です。また、CrystalDiskMarkの場合、最初にテストサイズの大きさを持つファイルを作成してその中で読み書きを行いますが、このソフトの場合はシーケンシャルライトのテストがいきなり開始され、そこで作成されたファイルを後のテストで使い回すようになっています。
このソフトの利点としては、複数のQueueDepthでのランダムリード・ライトをお手軽に測定できる点でしょう。これにより、AHCIモードの利点が容易に確認できるようになると思います。なお、CrystalDiskMarkの次期バージョンでも、同様に複数QDでのテストに対応するようです。現在ひっそりと技術デモ版が公開されているので、こちらにも期待です。

オーバークロック・ダウンクロック環境下でのIometerの誤差

Windows上でCPUのクロックを変化させると、Iometerの結果に誤差が生じることがあります。具体的には、マザーボードに添付されているOC用のWindowsアプリケーションや、Cool'n'Quietなどが原因となります。オーバークロックすると低めの結果が、ダウンクロックすると高めの結果が返ってきます。BIOSでのオーバークロックでは問題ありません。
この現象の原因は、ソフトの内部に使われているタイマにあります。Iometerでは、CPUを用いた高精度のタイマにより、1回ごとのディスクアクセスタイムを測定しています。Windowsの仕様で、そのタイマの分解能の変化を取得することができないので、CPUのクロックが変更されるとおかしなことになってしまうわけです。
CrystalDiskMarkなどではそれとは異なる種類のタイマ(マルチメディアタイマ)を利用しているため、この問題は発生しません。ただし、マルチメディアタイマは分解能が1msしかないので、一回ごとのアクセスタイム(マイクロ秒単位)を取得することはできず、IometerのようなMax Response Timeの測定を行うことができません。
というわけで、Iometerでのテストを行うときはオーバークロックを解除し、Cool'n'Quietなども無効にしましょう。

新型Samsungコントローラ搭載SSDの"Auto-TRIM"とファームウェアバージョンについて

Indilinx、IntelSamsungのいずれのコントローラにおいても、細かいファイルの書き込みを繰り返すと物理アドレスレベルの断片化が発生し、性能が劣化していまいます。この現象はOSからタッチできない物理アドレスレベルでの問題なので、たとえディスク全体をフォーマットしても性能は元に戻りません。AnandTechの記事にあるように、特にSamsungコントローラ搭載SSD(Samsung PB-22Jシリーズ、OCZ Summitシリーズなど)はその性能低下が著しいようです。PC WatchのMMDOE56G5MXP-0VBのテストでも、HD Tuneのテストがかなりひどい状態になっていますが、これは多数のテストに伴う性能劣化が原因と考えられます。
この問題の解決策としては、Indilinxはwiperという性能回復プログラムを公開、Intelは大きなファイルのシーケンシャルライト時に回復する機能の実装、そして、Samsungは"Auto-TRIM"と呼ばれるシステムの実装を行っています。
"Auto-TRIM"とは、アイドル時に自動的にガベージコレクションを行い、劣化した性能を回復させるという機能です。この機能の効果は大きく、PC PerspectiveのテストAnandTechのテストのいずれでも新品に近い状態にまで性能が回復しています。
ところが、ここには一つ落とし穴があります。古いバージョンのファームウェアは、"Auto-TRIM"を実装していません。そして、現在の所、ファームウェアアップデートツールは提供されていません。AnandTechの記事Hardware Canucksの記事によれば、ファームウェアのバージョンは"1801","18C1","1901"などが存在し、"Auto-TRIM"が実装されているのは"18C1"以降のファームウェアになるようです。
そのため、これらのSSDを購入する際には、最近出荷されたものを買うのが現状ではベストのようです。中古などは安くても手を出さない方が無難です。

SSD寿命診断ソフト SSD Inspector Lite (for Hana Micron SSD)

最近Hana Micronという紛らわしい名称の会社*1からいくつかのIndilinx製コントローラ搭載SSDが発売されています。SSD Inspector Liteは、それらのSSD専用の寿命診断ソフトのようです。
スクリーンショットを見る限り、(当たり前ですが)表示項目のいくつかはJSMonitorと共通していますね。ただし、このソフトは有料で価格は1,680円とのことです。試用ができないのが残念です。

Windowsの電源設定でSSDのパフォーマンスが低下?

OCZのフォーラムによると、Windowsの電源設定が"バランス"になっているとSSDのパフォーマンスが低下することがあるため、"パフォーマンス"にするのが良いようです。Linuxでも同様の結果が出ていますね。ノートPCをお使いの方は一度チェックしてみることをおすすめします。

*1:Samsungからスピンアウトした会社らしいです。Micronとは関係ない?