Barefoot搭載SSDは書き込むデータの内容によって性能が変わる?

すでに旧聞に属する話なのですが、Crystal Dew World掲示板において、SandForce社製のSF-1500コントローラ搭載SSDの書き込み速度の特性が話題になっていました。具体的には、書き込むデータの内容がランダムの時のシーケンシャルライト性能が130MB/s程度なのに対し、全て0のデータを書き込むときは200MB/s以上の速度が出るというものです。
SF-1500は長寿命化を図るため、非常に野心的な設計を施されたコントローラです。具体的には、オンラインでのデータ圧縮、512バイト中24バイトを修正可能なECC、RAID5に似た冗長データの保持(RAISE:Redundant Array of Independent Silicon Elements)など、既存のコントローラとは一線を画す機能が搭載されています。これらのうち、上記のパフォーマンスが変化する現象を引き起こしている原因は、おそらくデータ圧縮にあると思われます。すなわち、圧縮の効果が大きいデータの書き込みは速く、効果が少ないデータに対しては書き込みが遅くなるということです。いつもコメントを頂いているmarosamaさんのBlogの記事でも、データの内容によってコピー速度が大幅に変化することが示されています。
…というだけで話は終わりと思いきや、何故かBarefoot搭載のVertexでも同様に0Fillかランダムかで大幅に書き込み速度が変わるという現象が発生しています。Vertexでは、CrystalDiskMarkやAS SSD Benchmarkなどに比べ、ATTOやHD Tuneで妙に高いパフォーマンスが出るのですが、それはこの現象が原因のようです。
というわけで、書き込み内容を変えた際に、書き込み速度にどれだけの差が出るかを計測する簡単なプログラムを作ってみました。ダウンロードはこちらからお願いします。
このプログラムを、Vertex 30GB(Barefoot, MLC), K5-64(Barefoot SLC), MasterDrive SX 64GB(Samsung PB-22J相当)の3つのSSDに対して実行した結果が以下です。

SSD All 0x00h(0Fill) All 0xFFh(1Fill) Random
Vertex 142.285MB/s 163.934MB/s 91.8924MB/s
K5-64 176.831MB/s 189.225MB/s 176.202MB/s
PB-22J 140.056MB/s 144.174MB/s 144.604MB/s

以上の表のように、Vertexでのみパフォーマンスに大きな差が現れました。同コントローラでSLCを搭載しているK5-64は1Fillの時だけ若干速く、PB-22Jではほとんど差は見受けられませんでした。
Barefootを搭載したVertexとK5-64では、0Fillより1Fillの方が速くなっています。NANDフラッシュにデータを書き込む時は、最初に消去(全ビットを1にする)を行った後、データの書き込み(任意のビットを1から0に変える)を行います。おそらく、Barefootはデータが全て1だったとき、2番目の書き込みのフェーズを飛ばすような最適化をしているのだと思います。
Vertexにおいてのみ大幅にパフォーマンスが変化する原因はよく分かりません。Vertexは0Fill/1Fill以外でも、例えば00FF00FF...といった周期的なデータでも書き込みが速くなるので、もしかするとインターリーブが最適化される(次に来るデータが前と同じならロード時間が不要になる)のが原因かと思ったのですが、1.5倍もの差が出るとは思えず、また、K5-64でほとんどパフォーマンスに差が見られないことを説明できません。
というわけで、この現象の原因について心当たりのある方はご教授いただければ幸いです。