SuperTalent MasterDrive MXのファームウェアをアップデートしてみた
今週月曜日、SuperTalent製MasterDrive MXシリーズSSD用のファームウェアアップデートが公開されたので、試してみました。
結論からいうと、アップデートはしない方がよいです。まあ、うすうすそんな予感はしていたのですが…
以下に、アップデートの顛末と、アップデート前後のベンチマーク結果を記しておきます。
アップデート内容とアップデート方法
以前こちらで書いたように、MasterDrive MXシリーズにはRev.AとRev.Bの二種類があり、後者は最大書き込み速度が向上しています。今回のファームウェアの内容は、このRev.AをRev.B相当にアップデートするもののようです。
普通なら喜んでアップデートするところですが、今回のアップデートには罠があります。このRev.BにOSをインストールするとファイル書き込み時にOSが数秒間反応しなくなる現象、いわゆるプチフリ(英名:freezing and stuttering)が発生することがあるというものです。
このプチフリという現象、正確な定義が分からない上に、起こっているという人と起こっていないという人がいます。というわけで、半ば怖いもの見たさでアップデートを試してみました。使用したのは120GB版(FTM20GK25H)です。
ファームウェアは、以下のページからダウンロードできます。
http://www.supertalent.com/support/driver_download.php
正式な方法はフロッピーにツールとファームウェアをコピーし、DOSでブートさせるというものです。しかし、最近フロッピーなんて全く目にしていません。そこで、MEMORVAさんの記事を参考にして、USBメモリからブートしてアップデートを行いました。
アップデートは問題なく完了。なぜか容量が112.62GBから112.67GBに増加しました。
なお、アップデートを行うとすべてのデータが消えるので、データをバックアップする必要があります。念のため、今回は予備用に保管してあったSSDをアップデートし、TrueImage11でバックアップしたデータから復元を行いました。
ベンチマーク結果
ベンチマークについてなのですが、ファイルの書き込み・読み込み速度の測定はCrystalDiskMarkでよいとして、ファイルコピーの速度を測定する必要があります。よいソフトを知らなかったので、VisualC++で任意のサイズ・個数のファイルを作成してコピーし、その時間を計測するソフトを自作して試してみました。
計測したマシンは、Athlon XP 5200+, メモリ4GB, AMD780Gの自作デスクトップです。フォーマット直後で完全に空の状態と、TrueImageで復元した後の2回ベンチマークを行いました。
また、復元が成功して元のPCで動作することが確認できたので、アップデート前のSSDでもベンチマークを行いました。
以下の表は、Seq. Read〜Write 4KまでがCrystalDiskMark 2.2、テストサイズ500MBでの結果で、Copyの三項目は自作ソフトの結果です。自作ソフトは、500MBのファイル1個、512KBのファイル1000個、4KBのファイル5000個のコピーを5回行い、その平均値を求めるようにしてあります。また、最後に参考のためHDDのスコアも掲載しました。HDDはWesternDigital製のWD6400AAKS(640GB, 7200RPM, 320GBプラッタ)で、このHDDにOSがインストールされています。
状態 | Seq. Read | Seq. Write | Read 512K | Write 512K | Read 4K | Write 4K | Copy 500Mx1 | Copy 512kx1000 | Copy 4kx5000 |
Rev.A 空 | 116.237MB/s | 43.262MB/s | 104.666MB/s | 34.767MB/s | 8.333MB/s | 1.185MB/s | 7.656MB/s(65.307sec) | 5.147MB/s(97.138sec) | 0.915MB/s(21.341sec) |
Rev.A 70GB使用 | 111.979MB/s | 40.858MB/s | 100.875MB/s | 31.187MB/s | 6.846MB/s | 1.058MB/s | 8.756MB/s(57.103sec) | 5.482MB/s(91.203sec) | 0.766MB/s(25.509sec) |
Rev.B 空 | 129.230MB/s | 79.426MB/s | 112.937MB/s | 52.915MB/s | 6.988MB/s | 1.619MB/s | 10.630MB/s(47.037sec) | 3.062MB/s(163.305sec) | 0.512MB/s(38.130sec) |
Rev.B 70GB使用 | 114.373MB/s | 75.764MB/s | 107.742MB/s | 44.649MB/s | 7.024MB/s | 1.506MB/s | 11.088MB/s(45.094sec) | 3.049MB/s(164.010sec) | 0.105MB/s(185.659sec) |
WD6400AAKS | 103.237MB/s | 98.310MB/s | 42.111MB/s | 56.908MB/s | 0.572 MB/s | 1.361MB/s | 35.475MB/s(14.095sec) | 28.856MB/s(17.327sec) | 1.488MB/s(13.122sec) |
Rev.BにするとCrystalDiskMarkの測定項目はほぼ全てスコアが向上しますが、小さいファイルのコピー速度は低下しています。特に4KBのコピーは壊滅的に遅いです。嫌な予感…
そしてプチフリ全開
データを復元したRev.Bを元のノートPCに戻して使ってみました。
うーむ、これはひどい。書き込みと読み込みを同時に行わせるといわゆるプチフリが発生します。マウスカーソルは動くのですが、クリックもキーボード入力も受け付けない。ようやくクリックが反応したと思ったらプログラムの状態は「応答なし」になってます。メモ帳が応答しないってどうゆうことですか。
3日ほど使ってみましたが、正直もうムリ。プログラムのインストール中にフリーズ、圧縮・解凍でフリーズ、Visual C++のコンパイルでフリーズ、上記の自作ベンチマークでもフリーズ。それだけでなく、研究に使用しているソフトにも悪影響が出ることが判明。さらに、ためしにニコニコを見てみましたが、これもフリーズ。再生が途切れ途切れになるだけではなく、ブラウザが応答しません。これじゃ教授に後ろに回りこまれたときにとっさに隠せない。いかん、これは死活問題だ…
対策として、PerfectDisk2008でデフラグした後、OCZのサポートフォーラムのMaking XP pro SSD friendlyを参考にプリフェッチの無効化などを行いました。症状は多少改善された気もしますが、完全になくなることはありませんでした。
というわけで、Rev.Aを使用している方は、アップデートを行わずにそのまま利用し続けることを強く推奨します。
てか元に戻すためのファームウェアは公開されてないのね…うーんどうしよう。
*1:9/30 HDDのcopy 4Kx5000の結果の欄に誤って4Kx2000の結果を書いていたので、修正しました。速度は1.469MB/s->1.488MB/sだったのであまり変わらないですが…