関サバ・関アジはなぜ高い?

先日のテレビで、佐賀関以外の場所で水揚げされたサバを「関サバ」と偽って販売していた件が報道されていました。
もちろん食品の産地偽装は大きな問題ですが、個人的にはそもそも関サバ・関アジがなぜあれほど高額なのか(大分空港で売っていたものは両方とも一尾¥6,500)がよく分かりませんでした。そもそもサバもアジも回遊魚なので、たまたま佐賀関に来てしまったというだけでブランドになるのは常々不思議に思っていました。
というわけで、関サバ・関アジが高額な理由について調べてみました。

高額の理由は回遊性と漁法

通常、サバやアジは回遊性のある魚なので、海流に乗って常に移動しています。ところが、プランクトンの豊富な海域で育ったサバやアジは回遊性が低く、一箇所に留まり続ける傾向があります。佐賀関が面する豊予海峡(速吸の瀬戸)も、そのような「潮付き」のサバやアジが棲息する場所です。特に豊予海峡は海流の流れが早く、その海流に逆らって留まり続ける関サバ・関アジは身が引き締まっているそうです。さらに、回遊型のサバは南方太平洋で寄生虫アニサキスなどに感染する可能性が高く、生で食べると人間にも感染することがあります。それに対し、瀬付きのサバは寄生虫を飼っていることが少ないようです。
サバやアジのブランドといえば、やはり関サバ・関アジが有名なのですが、それ以外でも瀬付きのサバやアジにいくつかのブランドがあります。豊予海峡でも、佐賀関の向かい側にある四国の三崎町で捕れたサバ・アジは「岬(はな)サバ」「岬アジ」と呼ばれ、関サバ・関アジほどではありませんが、一般のものに比べ高価です。
また、関サバ・関アジを名乗るためには、漁法が一本釣りであり、しめ方も「活けじめ」である必要があります。
通常の回遊性のサバやアジはトロール漁で捕られます。ところが、豊予海峡では海底の地形が複雑なためトロール漁は適しておらず、伝統的に一本釣りでの漁業が営まれてきました。また、一本釣りで釣れた魚は活きた状態で港に持ち帰り、延髄を切断することでしめます。これを「活けじめ」と呼び、魚が体力を消耗しつくして死んだ場合よりも味が数段よいと言われています。
このように、関サバ・関アジが高価で珍重されるのには理由があります。なお、本物の関サバ・関アジには、佐賀関町の認定シールが必ず貼られています。シールがないのに関サバ・関アジと表示されている商品は、ほとんどの場合産地が偽装されているそうです。関サバ・関アジを買う場合には、その点を注意した方がよさそうです。なお、先日大分空港で見かけたものにはシールが貼ってありました。
ちなみに、僕はこのような高級魚を食べられるほどお金を持っていません。悲しい…