星までの距離を測る(5) セファイド変光星

銀河系の直径が8〜10万光年と推定されているのに対し、隣の銀河までの距離は数百万光年もあると推定されています。今日の内容は、一気にその遠大な距離を飛び越える「宇宙の標準ろうそく」ことセファイド変光星についてです。

セファイドの特徴と距離推定

セファイド変光星とは、主系列星の時代を過ぎた老齢期の星のうちの一種類です。セファイドは、非常に規則正しく膨張と収縮を繰り返し、それに伴って明るさも変わる(変光)という特徴を持っています。
このセファイドには、変光の周期を測るだけで絶対光度が分かるという、非常に重要な特徴があります。変光の周期を測り、そこから導かれる絶対光度と地球からのみかけの光度を比較することで、そのセファイドまでの距離が分かるわけです。
また、セファイドは非常に明るいという利点も持っています。そのため、遠方の銀河にあるセファイドを直接観測することができます。それによって、その銀河までの距離を推定できることになります。このような性質から、セファイドは「宇宙の標準ろうそく」と呼ばれています。
地球から最も近いセファイドは北極星(ポラリス)で、およそ430光年離れています。そのほかに地球に近いセファイドには、ケフェウス座δ星(約890光年)、ふたご座ζ星(メクブダ、約1200光年)、わし座η星(約1200光年)などがあります。これらの星の距離をヒッパルコス衛星などの別の方法によって測ることで、セファイドを用いた距離測定方法が可能になりました。
セファイドによる距離推定が可能な範囲は、数百万〜数千万光年にも及びます。現在の最長記録はNGC4603銀河の約1億800万光年で、ハッブル宇宙望遠鏡によって計測されました。
セファイドのおかげで、近隣の数十個の銀河までの距離が明らかになりました。これらの銀河は、我々の銀河系と同じ銀河群に所属しているメンバーです。
次回は、セファイドの光さえ見分けられない遠方の銀河までの距離の推定方法についてです。