Solidata製K5-64REのベンチマーク

Solidata社のRe.シリーズは、Indilinx製のIDX22コントローラとSamusung製のSLCフラッシュを搭載した製品です。デッドストックとなっていたフラッシュを使用しているため、他社の同等品より割安であるという特徴があります。今回は、代理店のテック社のモニタ販売キャンペーンに当選したので、64GBのK5-64REを通常よりさらに安く購入することができました。
外観上の特徴としては、Vertexシリーズには存在するファームウェアアップデート用のジャンパがありません。ファームウェアのバージョンは1370となっており、Vertexの最新版と同じです。

購入直後の状態でのベンチマーク

まず、以前のVertexシリーズのベンチマークと同じ条件で、HDTune Pro 3.50のテストを行いました。




ほぼVertexの250GBの結果と同等となっています。
さらに、クイックフォーマットを用いてパーティションを作成した後のベンチマークは、以下のようになりました。

  • ATTO QueueDepth=1

  • ATTO QueueDepth=4(デフォルト)


性能低下状態でのベンチマーク

IDX22コントローラ搭載SSDは、使用に伴い性能が低下してしまう現象が起こります。
その現象について調べるため、意図的に性能低下状態にさせてみました。まず、パーティション作成後にIometerを用いてディスク全域に対して4KBのRandom Writeを30分間行いました。次に、そのパーティションを削除してもう一度HDTune Pro 3.50を用いたテストを行いました。




同じSSDのテスト結果とは思えないほどの性能低下ですね…

性能低下の修正方法

"HDDErase"というソフトを使うと、性能低下を元に戻すことができます。ただし、データは全部消えてしまうので、通常使うドライブの場合はデータのバックアップを取る必要があります。
なお、HDDEraseを用いるには、同梱されているISOファイルで作成したCDからブートするか、USBメモリまたはフロッピーからDOSを立ち上げる必要があります。また、今回使用したJETWAYのPA78M4(AMD780G)の場合、BIOSで"Onchip SATA Type"を"Legacy IDE"に変更しておかないと、HDDEraseからHDDが認識されません。さらに、使用できるSATAポートは6ポートあるうちの最初の4ポートのみです。
HDDErase実行後、性能は元に戻ります。

現時点でのまとめ

IntelJMF602搭載のSSDは、MLCタイプに比べてSLCタイプの方が性能が高いため、K5-64REもMLC製品より性能が向上していることを期待していました。しかし、新品状態のベンチマークでは、Vertexの30GBは上回るものの、250GBと同程度の性能のようです。ここは少し上乗せが欲しかった所です。
性能低下は悩ましい問題ですが、完全に劣化した状態でも、ディスク全域での4KBのランダムライト性能は550〜600IOPS(2,2MB/s〜2,4MB/s)ほどある上、64MBのキャッシュを持っているため、プチフリとはほぼ無縁であると考えられます。ちなみに、Vertexの30GBを完全に劣化させた状態でのディスク全域での4KBのランダムライト性能は、350〜400IOPS(1.4MB/s〜1.6MB/s)程度となります。この差は、SLCの地力の高さに起因するものと思われます。寿命の問題も含め、Vertexよりシステムドライブに適しているのは間違いありません。

このシリーズは、デッドストックのNANDを用いて価格を抑えたことを売りにしています。そこで、他社の主要なSLCタイプ、64GBのSSDと価格を比べてみました。他社製品は5月3日時点での最安価格です。

メーカ 製品名 価格 Seq.Read Seq.Write 備考
Samsung MCCOE64G5MPP-0VA ¥29,980 100MB/s 80MB/s バルクのみ
MTRON MSD-SATA3525064 ¥42,800 100MB/s 100MB/s
Intel SSDSA2SH064G1C5 ¥82,918 250MB/s 170MB/s
Photofast GM-25S64GSSDV4 ¥89,799 270MB/s 190MB/s K5-64REと同等品
Solidata K5-64RE ¥56,800 230MB/s 170MB/s

Samsung,MTRONの旧製品と比べると若干高価ですが、同等品のPhotofast製品に比べると3分の2以下の価格になっています。なお、今回はモニタ販売ということで、定価よりさらに安い¥44,800で購入することができました。この価格ならMTRONとほぼ同程度、Photofastの半額なので、コストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。

TRIMコマンドについて

最近のSSDコントローラは、ランダムライト性能の向上と引き替えに、物理アドレスレベルでのデータの断片化が発生してしまい、読み書き双方の性能が低下することが問題となっています。これは、以前紹介した論理アドレスの断片化とは異なり、空き領域のデフラグを行っても改善されません。デフラグはむしろ状況を悪化させる可能性が高いです。
なお、IntelのX-25E/Mシリーズの場合、シーケンシャルライトを行った部分の性能が回復しますが、IDX22搭載SSDはシーケンシャルライトを行うとかえって性能が低下してしまうようです。
解決策として、OCZは"TRIM"というコマンドをSSDに送信するwiperツールを公開しています。これがうまく働けば、データを消すことなく性能低下を防げるはずなのですが、なぜかこちらの環境では効果が見られません。現在、原因について調査中です。