JMF602搭載SSDのプチフリのメカニズムについて(4) SLC編

SLC製品におけるプチフリチェック

前回までの記事と同様のテストを、TS8GSSD25S-S(8GB, SLC)でも行ってみました。その他のハードウェア構成は同一です。
このSSDはSLCを搭載しており、ブロックサイズが1MBとかなり小さいという特徴があります。

Random Writeの結果


これは、4KBの書き込みをランダムなアドレスに行ったときの書き込み時間のグラフです。右上の数値はテストに使用したファイルサイズであり、縦軸が書き込み時間(対数)、横軸が何番目の書き込みかを示します。
500MB以上のファイルサイズの場合、MLC同様のピークが見られます。この結果から、やはりSLCでもプチフリ現象が発生していることがわかります。ただし、ピークの大きさはかなり小さく、最大で115ms程度または160ms程度でした。

アドレスジャンプ距離と初プチフリ発生回数
ジャンプ距離 0.5MB 1MB 1.5MB 2MB 3MB 4MB
プチフリ[回] 364 181 121 91 92 92
プチフリまでの総ジャンプ距離[MB] 182 181 181.5 182 196 368

表の上段のサイズごとにアドレスをジャンプしながら4KBの書き込みを行い、プチフリが初めて観測される回数を表にしました。
上記の結果から、システムデータは2MB(=2ブロック)を管理単位とし、90または91管理単位であることが分かります。
MLCと比較すると、システムデータの全データサイズは少ないものの、管理単位数は上回っています。

システムデータの回復時間
待ち時間[秒] 15 30 45 60 75 90
プチフリ[回] 29 60 88 92 92 91

次のテストまでの待ち時間を短くすることで、システムデータの回復時間を測定しました。テスト内容は前述の2MBのアドレスジャンプでの4KBの書き込みです。
やはりMLCよりかなり早く、45秒程度でほとんどのシステムデータが解放されています。

結論

以上のように、SLC製品ではシステムデータのサイズ自体は小さいものの、管理単位の数は多いようです。そのためMLCに比べ、SLCの方がプチフリ現象が発生するまでの最小回数が多く、システムデータの解放が早いという利点があります。さらに、プチフリ現象が発生しても最大で160ms程度と、MLCの最大900msに比べるとかなり小さい結果となりました。これらの結果から、SLC製品ではMLC製品に比べるとプチフリは発生しにくく、影響も小さいと考えられます。
なお、TS8GSSD25S-Sは2台所有しているため、2台とも同様のテストを行いました。JSMonitorで取得したSystem Block Countの値は、1台が454、もう1台が520とかなり差があるにもかかわらず、結果はほぼ同じでシステムデータは2MBx91または92のようです。これは、おそらく製品の性能に個体差が出ないようにしているためでしょう。