Samsungの新型SSD"MMDOE56G5MXP-0VB"の情報

DOS/V Power Reportの2009年3月号で、JSMonitorを紹介していただきました。
その関係で見本誌をいただいたのですが、今月のSSD特集も前月に引き続き大変興味深い内容だったので、宣伝を兼ねて内容の一部を紹介したいと思います。皆さん買ってください。
今回も前月同様、多数のSSDについて、PCMark, Iometer(File Server Access Pattern), CrystalDiskMarkによるテストが行われています。
その中で一際興味深い製品が、Samsung社製の新製品"MMDOE56G5MXP-0VB"です。これは、おそらくこの記事で紹介されている製品でしょう。スペックは、MLCタイプ,容量256GB,読み込み速度220MB/s,書き込み速度200MB/sとなっています。型番でググっても全然情報が出てこないので、おそらくこの記事が世界初のベンチマークなのではないでしょうか。
特に注目すべきなのは、Iometerの結果です。Average Response TimeではバッファローSHD-NSMR80G(IntelMLC製品のOEM)に劣っていますが、なんとMax Response Timeはわずか27.62msと、SHD-NSMR80Gの99.77msを軽く上回っています。また、Max Response TimeがVelociRaptorを上回っているのは、同テストではこの製品だけでした。
それがどうしたと思われるかもしれませんが、同製品はブロックサイズの呪縛から逃れられているという点で画期的です。前回の記事で書いたように、最大書き込み遅延の大きさはブロックサイズに大きく依存しています。そのため、通常はブロックサイズが大きくなるほど最大書き込み遅延は大きくなってしまいます。速度と容量から考えて、おそらくこのSamsungSSDはVertex同様16chでのアクセスを行うと思われます。SSDのブロックサイズは、[フラッシュチップ単体のブロックサイズ]x[同時アクセスチャンネル数]で計算されるので、この製品の場合はおそらく512KBx16=8MBとなります。それにも関わらず、10chアクセスのIntel製品を軽く突き放す性能を持っているというのは驚異的です。DRAMキャッシュが内蔵されているようなので、それをうまく使っているのでしょう。
あとは、この製品が果たして小売に出るのか、価格はどのくらいかということが非常に気になります。また、性能・特徴が似ているVertexシリーズとの比較も興味深いところです。
ちなみに、同記事の中でトランセンド製のTS64GSSD25S-S(SLC,SATA,64GB)がテストされています。前回の記事で、JMF602搭載でSLCタイプの製品について、"32GB以上のモデルはブロックサイズが2MBあるようなので、8,16GBより最大遅延はむしろ悪くなってしまう可能性があります。"と書いたのですが(8,16GB製品のブロックサイズは1MB)、同記事中の結果では最大書き込み遅延が約336msとなっていました。当ブログ内の記事では,8GBの製品で約158msの最大書き込み遅延が計測されており、64GB製品の遅延はほぼその倍の値です。測定方法が異なるため厳密な比較ではないのですが、ほぼ仮説を裏付ける形になっていました。
ともあれ、前月に引き続き、今月の記事もSSDに興味を持っている方は必見です。皆さん買ってください。*1

  • 追記

同記事のWeb版はこちらから見ることができます。
どうやら、この製品は継続使用による性能の落ち込みが大きいようです。PC Watchの記事にHDTuneの結果が出ていますが、上記の記事とは同じ製品とは思えないほどよくない結果が出ています。これを見る限りおすすめとは言い難いですね…

*1:大切なことなので2回言いました